2016_12
30
(Fri)15:52

4章 第4話

オリジナル小説 『カタクリズム』
4章 第4話 【メンフィス】

やっとメンフィスまで来れたー!って感じです。
ここの話を考えたのは初期の頃だったかなぁ?
久々のハーフブリードの出番なので楽しかったです!

では、続きを読むからどうぞー。









【メンフィス】





傷の癒えたハーフブリードはメンフィスの使者"ラスール・ナビィ"と共に壮途に就く
目的地は黒狐の紋章を掲げる砂漠の国メンフィス
ジーンがワンちゃんの家で見つけた"死者の書"を返した御礼に
国をあげてもてなすという事となっている
だが、ナビィが彼等を招待したのはそれだけの理由であるはずがなかった
シルトの常闇の鎧と盾にも同じ黒狐の紋章が刻まれているからだ・・・

「ナビィさん」

今回は馬車での旅となった
この馬車はナビィが雇い、ハーフブリードは乗ってるだけでいいという
珍しくとても楽な旅路となっている
そんな馬車内から、並列して馬に乗るナビィにシルトが声をかけてくる

「はい?」

「アナタのそれ、メンフィスの紋章なんですよね?」

"それ"とは、ナビィの白いローブの背に描かれている黒狐の紋様の事である

「えぇ、我が祖国メンフィスは古い歴史のある国です
 この黒狐の紋章は6000年以上変わっていないと聞いております」

ナビィの顔は大半が隠れている
頭からすっぽりと金の装飾のあるターバンを被っており
僅かに見えるのはその黒い瞳だけである
全身を覆っているローブの中、胸元は水着のビキニのようである
引き締まった褐色の腹部が見え、金の装飾がされたベルトをしており
その下には白いアラジンパンツのような緩いパンツを履いている
だぼだぼしたパンツは足首辺りで紐で絞られており
動き回っても邪魔にはならなそうだった

nabi.png


「そうなんだ、じゃあ僕のこれはメンフィス製なのかな」

「はい・・・そう、だと思います」

ナビィは伏し目がちになり、後半は聞こえないくらい小さな声だった
少し気になったがそれ以上聞いていい雰囲気でもなく
シルトは馬車内へと戻ってゆく

「やっぱ常闇はメンフィスのなんだね」

「そうみたいだね!」

「アーティファクトが手に入るかもね?」

「確かにありそうだな・・・これは少し期待?」

「死者の書もあの国の物みたいだしね、行く価値はあると思うよ」

「楽しみだねー、ね、ウェールズ」

アギャァ

他愛もない会話はこの旅路の中ずっと続き
馬車を運転している御者とも仲良くなり、毎日大騒ぎだった
そんな中、ナビィだけは打ち解けられず、いつも一人で食事を取っていた
その様子が気になったシルトは、ある晩飯の時に彼女に声をかける

「ナビィさんも皆と一緒にどうっすか」

『うひゃぁっ!!?』

背後から声をかけると、ナビィからは想像してなかった声が飛び出す
その後、ゲホゲホとむせるナビィにシルトが綺麗なハンカチを差し出しながら言う

「すみません、驚かせちゃいましたね」

『よ、よよよ、寄らないでくだしゃいっ!』

異常なまでに焦っているナビィの語尾は噛んでいた
尋常じゃない雰囲気に、皆の箸が止まり、何事かと様子を見ている

「何かその・・・すみません・・・」

シルトがしょぼくれて皆のもとへと戻ると
シャルルやラピから「シルさん何したの?」と聞かれるが
自分が何か悪い事をした自覚の無いシルトにはさっぱりだった

しばらくして、落ち着きを取り戻したナビィは
いつもの様に顔を隠した状態でこちらへと歩いてくる
先ほどの様子から微妙な空気が漂っており、皆に緊張が走る

「あの・・・」

伏し目がちのナビィが消え入りそうな声で言う

「パニックになってしまい、すみませんでした」

そして、深く頭を下げる

「いやいやいや、驚かした僕が悪いですし、こちらこそすみません」

慌ててシルトが立ち上がり、ナビィに1歩近づくと
彼女は瞬時に1歩下がった

「え?」

その機敏な動きに呆気に取られ、差し出した左手は宙で虚しく止まる

「あ・・・その、すみません、条件反射で」

「は、はぁ・・・」

条件反射で避けられるのもどうなんだろうと一瞬考えたが
今はこれ以上面倒な方向に持って行きたくないので言わずにいる

「あの・・・1つ聞いてもよろしいか?」

「はい?」

質問などされるとは予想もしてなかったシルトは目を丸くする
そして、ナビィは大きな深呼吸をしてからゆっくりと口を開いた

「・・・ワタシの顔を見ましたか?」

「は?」

「見たのか、と聞いている、答えてくれ!大切な事なんだ!」

そういうナビィの眼差しは真剣そのものだった

「いや、後姿しか見てないっすよ」

シルトがそう言うと、ナビィは大きく胸を撫で下ろす

「そうか、良かった」

「顔を見られるとまずいんっすか?」

質問の意図ががわからないので聞いてみる

「いや・・・まずいというか・・・その・・」

なんとも歯切れの悪い態度に更に気になってゆく

「皆、ナビィさんの顔見た事あんの?」

シルトが皆の方へと顔を向けて聞いてみると
ハーフブリードの女性陣は首を縦に振っていた

「え?みんな見た事あんの!?」

「綺麗な人だよねー」

「うんうん」

「私も小麦色の肌にしてみようかな?」

「日焼け痛いよ?」

「あー、それは嫌だなー」

などと脱線して盛り上がっている

「俺も無いですよ、がはは」

と、御者の男が笑っていたが、こんな数日限りの付き合いなら当然だろ、と流す
それよりも、何でハーフブリードの皆が見た事あるのに僕はダメなんだ?と
そちらの方が気になってしまった

「んで、ナビィさん、何がまずいので?」

「・・・・その、我が国では・・・・・・・・・の者にしか見せんのだ」

「?・・ちょっと聞こえなかったっす」

『しょ、将来を約束した者にしか顔を見せんのだっ!』

突然の大声に驚き、一瞬で場が静かになる
ハッとしたナビィは顔を真っ赤にして―――見えないが―――俯く

「なるほど・・・なら、見えなくて良かったですね」

あれほど慌てた理由や、自分だけが見せてもらえない理由が解り
納得納得と満足気に笑顔でそう言った

「あ、あぁ・・・そう、だな」

そう言うナビィは少し寂しげに、複雑な表情をしていた




それから数日が経ち、一行の前には巨大な大地の裂け目が広がっていた
ここはエイン達が渡った位置から南におよそ200キロほど行った場所である
大地の裂け目は見渡す限り続いており、それはまるで大陸が両断されているようだった

「こりゃ凄いな」

「うひゃー、深いなー・・・」

「そんな事よりあーつーいー!」

シルトとラピが大地の裂け目を覗き込んでいると背後でシャルルが騒ぎ出す
元々ハーフキャットという種族は暑さに弱い
春先とは言え、猛烈な陽射しとこの気温である
ハーフキャットでなくとも厳しい暑さなのだ、そんな彼女達が耐えられるはずもなかった
ちなみにサラは既にダウンしており、馬車で横になっている

「シャルルはだらしないな、この程度の暑さ平気でしょ」

ジーンがここぞとばかりにシャルルにそんな事を言う

「アンタはその障壁で平気でしょうけどね!
 わーたーしーはーあーつーいーのーっ!!」

地団駄を踏みながらシャルルが吼える

「ならシャルルも障壁使えばいいじゃない、教えたでしょ?」

「やってるっつーの!でも暑いもんは暑いの!!」

これ以上イライラすると更に暑くなるのでシャルルは少し冷静になる
しかし怒りは収まらず、ドスドスと足音を立てて馬車へと戻って行った

「ラピは平気なん?」

「ん?わたしは平気だよ、確かに暑いけど耐えられないほどじゃないかなぁ」

ラピの頭の上にいるウェールズがアギャと小さく鳴いて翼をばたつかせている

「ウェールズも余裕そうだね」

アギャアギャ

「うん、ウェールズはドラゴンだからねー
 そういうシルさんは平気なの?見た目すごく暑苦しいけど・・・」

シルトの鎧と盾は光すら飲み込みそうな漆黒である
本来であれば光を吸収し、熱を持ってもおかしくない色だが
この常闇という装備は不思議と熱くも冷たくもならなかった
そういった魔法がかけられてるのか?と気になって、ジーンに調べてもらったが
どうやらこれは魔法ではなく、使われてる素材の影響らしい
そのため、常闇を着ているシルトは全くと言っていいほど暑くないのだ

「僕は余裕だよ、これ着てるからね」

「不思議な装備だよねぇ」

「アーティファクトってそんなもんっしょ」

そんな会話をしていると、ナビィが二人の元へと歩いてくる

「シルト殿、前々から聞こうと思っていたのだが」

「ん?」

「その鎧と盾、どこで手に入れたのだ?」

一瞬どこまで話すべきかと悩んだが、シルトはこう答えた

「ある遺跡にあって、手に入れてからもう長いこと使ってますよ」

「遺跡・・・場所を聞いてもよろしいだろうか」

「ラルアースの・・・って伝わるのかな」

「ラルアースッ!?」

そこでナビィの顔色が変わった
それはまさしく伝承にある聖地の名だからだ

「アナタ達はそこから来たという事なのか?」

「えぇ、僕等はラルアースのラーズって国から来てますよ」

「ラーズ・・・聞かぬ名だな」

ナビィは複数のラルアースの文献に目を通した事がある
だが、そんな国名は出てきた事が無かった
自分の知らない知識を持つ彼等に途端に興味が沸いてくる
しかし今はそんな事をしている場合ではない
後ろ髪を引かれる思いを隠してナビィは皮袋に手を入れる

「色々聞かせてもらいたいが、まずはここを渡ろう」

「渡る?どうやって?」

ラピは興味津々にナビィに詰め寄る
そんなラピに皮袋から取り出した物を見せて僅かに微笑んだ
彼女が取り出した物、それはオカリナのようなものだった

「楽器?」

「はい、少し下がっていてください」

素直にそれに従い、彼女が何をするのかじっと見守る
ナビィは深い深呼吸をしてオカリナを口に当てた

・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・

・・・

しかし一向に音は聞こえず、何してるんだろう?と気になった頃
一瞬陽射しが遮られ、影が訪れる
それに反応してシルトとラピが空を見上げると、そこには鳥のような影が見えた

「鳥・・・じゃないなぁ、なんだろーあれ」

ラピは動物などには詳しい、そのラピでも解らない何かが近づいてきていた
徐々に近づくにつれ"それ"が何であるか分かってきたが
ハーフブリードの皆はそれを見るのは初めてだった

『ヒッポグリフッ!!』

ラピが興奮気味に叫ぶ
彼女の言う通り、空から現れたのはヒッポグリフと呼ばれる獣だ
上半身は大鷲、下半身は馬のような体、そして長い尻尾が揺れている
頭から尻尾までは約5メートル、両翼を広げると10メートル近くはあるだろうか
ラピも実物を見たのは初めてだが、本で知識としては知っていた
ラルアースには存在していない伝説の生物、として・・・

バサァバサァと大きな音を立てながらゆっくりと着地したヒッポグリフは
ナビィを真っ直ぐ見たまま寄ってくる
彼女もまたヒッポグリフから一切目を離さず、前まで行くと片膝をつく

「よく来てくれた、感謝する」

まるで言葉を理解しているようにヒッポグリフがナビィの顔に頬ずりする
立ち上がったナビィはヒッポグリフの頬を撫でる
目を細めて喜ぶ姿は巨体ではあるが少し愛らしかった

「わぁ、わぁ、触っていい?触っていい?」

ラピが興奮気味にナビィに聞いている
少女の変貌ぶりに若干引いているが、ナビィは首を横に振った

「やめておいた方がよろしいかと思いますよ
 彼女はとても強く、気高い御方、爪で裂かれますよ」

「えー!触りたいーー!」

ラピがその場で足踏みをして今にもヒッポグリフに飛びつきそうな勢いだ
頭の上のウェールズが激しい揺れに不機嫌になり、少し大きな声で鳴いた

ァギャァッ!!

幼い咆哮にヒッポグリフが凄まじい勢いで飛び退く
そして、尿を漏らし、ガタガタと震え出す
ヒッポグリフのそんな姿など見た事もないナビィは何が起こったのか理解できず
慌ててヒッポグリフを落ち着かせようと撫でる

「ど、どうしたのですか!落ち着いてくださいっ!」

ヒッポグリフが怯えたのは仕方の無い事だった・・・それは"本能"だ
ドラゴンとはこの世の生態系の頂点に位置する生物である
幼いとは言えドラゴンの咆哮を聞いた獣が怯えない理由がない
遥か太古の時代から遺伝子に刻み込まれた記憶
ドラゴンという存在への恐怖、それが一瞬で呼び覚まされたのだ

「コラッ!ウェールズ、驚かしちゃダメでしょー」

ラピがウェールズの頭をポンっと叩き、小さな竜はしょぼくれる
やっと落ち着きを取り戻したヒッポグリフを連れてナビィが戻る

「すみません、こんなことは初めてでして・・・」

「あ、こっちのせいみたいなんで気にしないでください」

ナビィとシルトが話していると、その横をラピが通りすぎる
そして、ヒッポグリフの前に陣取っていた

『危ないですよっ!』

ナビィがそう叫びそうになった時、信じられない光景が目に入る
ヒッポグリフが足を折り、ラピに跪いたのだ
大鷲の頭は地面にこすりつけるように下がっており、完全に平伏している

「馬鹿な・・・あのヒッポグリフが・・・」

ナビィはこの信じられない状況が受け止めきれていなかった

「お前はいい子だねぇ、かわいいかわいい」

ラピはヒッポグリフの頭や翼を優しく撫でている
ヒッポグリフは気持ちよさそうに目を細めていた

ナビィの知るヒッポグリフとは、とても気高く
こちらが目を逸らすだけで襲ってくるほど気難しい相手であり
完全に人間を下に見ている強者なのだ
だからこそ敬意を表さなくてはならない、それは"絶対"なのだ

しかし、目の前に広がる光景にその"絶対"は存在していない

「ラピ・ララノア殿・・・貴女は何者なのですか・・・」

「わたし?ただのエルフだよー」

「え?・・・るふ?」

ナビィの常識がまた1つ壊れた

「待ってください、エルフとは"あのエルフ"なのですか?」

「あの?」

「ダークエルフではないのですか?」

「またそれー?ダークエルフなんて知らないよー、わたしはエルフだよー」

ラピが頬を膨らませてご立腹の様子だ
対するナビィはもう何が何やら解らぬ様子で呆然としている
その頃、ヒッポグリフの登場に気づいたシャルルやサラも馬車から出てきて
全員がヒッポグリフを囲むように集まっていた

「この子で渡るの?」

「はい、少し前に突如こんな裂け目ができたらしく
 現状の交通手段はこれしかないのです」

ナビィは旅の途中で本国と鷲を使ったやり取りをしており
この裂け目の事を既に知っていた

「天変地異ってやつかな?おっかないな」

「地殻変動かもね」

改めて裂け目を見るとその大きさ、深さに恐怖すら覚える

「それでは2名ずつ行きましょう」

ヒッポグリフの背にナビィを含めた3名ずつ乗り、裂け目の対岸へと渡る
それを3往復してハーフブリードは難なく裂け目を越える事が出来た
馬車の御者にはここまでで良いと伝え、既に帰ってもらっている

そこからは徒歩となる
砂漠の昼は肌が焼けるような暑さが襲い
夜は凍えるほど冷え込む厳しい環境だった

幸い防寒装備は持っていたので夜は平気だったが
昼の暑さには耐えられず、シルトを除く皆が薄着になっていった
しかし、ナビィの指摘で薄手のローブを1枚羽織る
直接陽射しを浴びていると危険らしい
砂漠というものが初めての彼等はそれに従い、メンフィスへの道無き道を歩いていた




3日ほど過ぎ、彼等の視界にやっと砂以外のものが飛び込んでくる

「お?湖かな」

「はい、あの大きかった湖の辺にあるのが我が祖国、メンフィスです」

「シャワー浴びたい・・・」

「私も・・・」

ハーフキャットの二人は薄着になったとは言え辛そうだった

この砂漠に入ってからシャルルは以前着ていたノースリーブに短パンという軽装だ
サラもノースリーブにミニスカートに着替えており
ジーンもエスニック風の服に戻っている
ラピも袖の無いワンピースに着替えており、皆涼しそうな格好になっている
しかし、シルトだけは相変わらず暑苦しい鎧姿のままだった

湖が見えてからも結構距離はあり、到着までに半日を有した

『やっと着いたーーー!』

シャルルが両手を大きく広げて叫ぶ
その声にメンフィスの住民の視線が集まり、彼女の風貌を見てひそひそと話し始める
だが、その視線は1人の男に集まり、ひそひそ話はがやがやと煩くなり始める

「なんか僕が見られてる気がするんだけど・・・」

「私達じゃなくシルトさんが目立つのは珍しいね」

「だねー、なんでだろ?」

メンフィスの街並みは建物という建物は少なく
テントのようなものが幾つも並んでいた
数少ない建物の軒先には布で出来た屋根があり
それら全てがすり鉢状に中央がへこんでいた
このすり鉢状の屋根は水を集めるための設計だ
少ない雨を効率よく集めるためにこのような形になっている
砂漠では"水"とは何よりも価値のあるものなのだ

一行が街中を歩くと、次第に人だかりが出来、その誰もがシルトを見ていた

「何、すっごい嫌なんだけど」

ここまで視線を向けられる事が無いシルトにはとても不快だった

「少しは私たちの気持ちが解ったかー!」

シャルルがそんな事を言いながら横を上機嫌に歩いている
注目される対象が別にいると、こんなにも気楽なものなんだとシャルルは感じていた

「あまり気にしないのがいいよ、見ると気になっちゃうから」

サラも視線が集まる事には慣れているため、シルトにアドバイスをする
自分がシルトに何かを教えるなんていう機会が無いので少し嬉しそうだった

「もうすぐ王宮です」

ナビィの一言で少しばかり緊張が走る
御もてなしを受ける側ではあるが、やはり王宮というものは緊張する
気を引き締め、疲れている身体に力が戻り、足取りは力強くなっていた


少しすると大きな土壁の建物の前へと着く

「陛下に謁見を、例の御仁を御連れしました」

門兵にそう伝えると兵は大慌てで王宮へと入ってゆく
すぐに彼等は通され、中に入ってゆく

王宮内は風通しがよく、外に比べると一気に涼しくなったように感じる
中は思ったより広く、太い柱が数本立っている程度で目立った装飾はない
王宮という割には寂しい内観だが、一直線に敷かれた赤い絨毯は一級品のようだった
赤い絨毯の先、数段上がった先に黄金で出来た玉座がある

玉座には1人の女性が座っていた
長い黒髪、長いまつ毛が印象的で、独特な化粧をしている事も相まって
目力の強い女性というのが第一印象だった
黄金のイヤリングやネックレスをしている褐色肌の女性である
年齢は30手前といったところだろうか、大人の魅力のある女性だ

「よく参られました」

玉座の女性の声は思ったより低く、王独特の威厳というものを感じさせる
ナビィが跪き、それを真似るようにハーフブリードも膝をつく・・・
が、玉座の女性がそれをよしとしなかった

「ワタクシに膝などつかないでください、どうか顔を上げてくださいませ」

一国の主たる王からそんな言葉を向けられるとは思っていなかった
驚いたハーフブリードは顔を上げる
すると、女性は玉座から立ち、早足でシルトの元へと駆け寄る

「へ?」

状況が理解できないシルトが間抜けな声を出していると
彼の前にその女性が両膝をついて頭を下げた・・・・

「ちょ、何してるんですか!」

慌てるシルトの言葉など聞いてる素振りはなく
王である女性はまるで土下座のような体勢のまま口を開く





「貴方様をずっとお待ちしておりました・・・・我が王よ」




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